第1回 3DCGの現状
3DCGを業務にとりいれるためのヒント
- レポート
コラム「3DCGを業務にとりいれるためのヒント」
3DCGってなんだか難しそう、どのように使うのか想像がつかない...
導入してみたけどいまいち使いこなせない...
そんな方に向けたコラムです!
3DCGの基礎知識やツールについてご紹介いたします。
今回は、3DCGでどのようなことが確認できるのか見ていきましょう!
1. アパレル事業の工程で3DCGに求められる評価項目
近頃リアルな3DCGを見る機会が増えてきました。
アパレル事業において3DCGは、トワルチェックからECサイトの商品画像まで、幅広く活用されています。
特に、ECサイトで利用される3DCGのクオリティは年々向上しています。
しかし、クオリティを向上するためには、たくさんのコストと労力が必要になっていて、課題になっています。
すべての工程においてリアルな3DCGを作成することが理想ですが、より効率的に活用するには、目的に応じた品質の3DCGを作成することが重要です。
まず初めに、3DCGが用いられている工程の目的と評価項目について、確認していきましょう!
①トワル と ④商品画像 では目的や評価項目が大きく異なり、それぞれに合った3DCGを用いる必要があります。
例えばパタンナーや製造担当者が見る画像は、製品の不具合を確認するための表現が必要になり、消費者が見る画像は生地の風合いからボタンの仕様まで、細部の表現が求められます。
後の工程になればなるほど、様々な要素が必要になり、おのずと3DCGの品質・要求は高くなります。
2. 3DCGで各評価項目はきちんと判断できるのか
ここでは、トワルチェックとデザインチェック工程における3DCGについて深堀したいと思います。
3DCGは、目的をどの程度達成できるのでしょうか。
3DCGで作成したトワルやサンプルでのデザイン・着心地・品質の評価と、3DCGに置き換えたことによる時間短縮効果、この4点について確認したいと思います。
(1) デザインの評価
こちらは、縦軸を時間短縮効果、横軸をデザイン表現度として並べたものです。
右上に行くほど、時間短縮効果、デザインの表現度が高くなっています。
複雑なデザインは、3DCGの表現のために、型紙を変更しなければならないケースもあるため、時間的な短縮効果が少なく、表現も難しいです。
一方、シンプルなデザインであれば、時間的な短縮効果が得られ、シルエットやバランスが伝えられるレベルにあることが分かっています。
(2) 着心地の評価
こちらの図は、2つの型紙を同じボディに着用させた際の衣服とボディの間のゆとり(空気層の厚さ)を示したものです。
赤色の部分はボディに接していて、青色になるほどボディから離れています。
3DCGで着心地を確認する場合、このような画像や数値、断面図で判断する必要があります。
見え方や数値と着心地の関係性が分かれば、着心地を3DCGで判断して推測することが可能になるため、研究が進められています。
(3) 品質の確認
3DCGでデジタルトワルを組むことで、浮きやしわなど、型紙の不具合を確認できます。
弊社3Dをお使いのお客様からは、
「パターンマジックⅡ3Dを使い始めた頃、3Dの着せ付け結果が綺麗にならないパターンがありました。実際にトワルを組んでみると、同じように綺麗ではなかったのです。それでパターンマジックⅡ3Dはトワルを再現できていると信じました。」(丸昌産業株式会社 様 導入事例より)
との声をいただいております。
しかし、中間アイロンワークによるパーツの表現や、素材に応じたイセ量、縫い代始末を考えた設計までの対応は、難しいのが現状です。
(4) 時間短縮効果
同じ型紙で、トワルと3DCGの両方を作成し、所要時間を計測した結果を示したものです。
トワルの作成時間は平均66分であったのに対し、3DCGの作成時間は16分でした。
トワル作成をすることの時間的な短縮、裁断コスト、生地コストの削減は可能であることが分かります。
(1)~(4) まとめ
以上から3DCGは、「デザインの試行錯誤やイメージの共有」に向いていますが、品質の確認や着心地の確認といった、「デジタル化しにくい部分」は実際のトワルやサンプルを活用する方が効率的ではないでしょうか。
また、 費用対効果を最大限にするためには、特性を理解して、目的の作業に必要な判断基準が得られる品質の3DCGを活用することが重要なポイントになります。
3. まとめ
- 後の工程になればなるほど、3DCGの品質・要求は高くなる
- 利用する目的や評価項目に応じて、品質を決定することが重要
次回は、基礎知識として、CG作成の工程や、ツールについて紹介します!