実践!レディース・パターン教室27(パンツの構造理論とパターンメーキング その5)

パターンメイキングをアパレルCADで実践

  • 新聞掲載

アパレル工業新聞 2021年5月1日発行 4面
この記事・写真等は、アパレル工業新聞社の許諾を得て掲載しています。

前回紹介した作図法は、3つのブロックによる構造理論を、そのままパターンメーキングの手法として取り入れた作図法でした。小難しい数値による理論は一切なく、対話をするように作図ができるのが特徴ですが、紙の切り貼りが必要という点では、実践向きというより構造を理解するための学習向きと言えます。

さて、今回は切り貼りのない平面製図による作図法を紹介します。多少の数値による操作が必要になりますが、理屈は全く同じです。そして、この作図法を紹介することが、本テーマの最大の目的です。恐らく今までのどの作図法にも属さない、画期的な作図法だと思っています。また、この作図法はまだまだ発展の要素が残っていることも付け加えておきます。この構造理論を理解していれば、他にも様々な作図法が考えられるかもしれません。それは皆さんにお任せするとして、何はともあれ一度この作図法を是非試してみてください。

 

10A.平面製図によるパンツの作図(基本形)

用意するもの勿論、股ぐりゲージである。一般的な製図同様、水平と垂直の基準線が重要になるので、ガイドになるよう製図には方眼を入れておく。スカート原型はあらかじめ用意したものを使用するが、作図段階で指定寸法に則って直接製図してもよい。

 

【10A-1】▼股ぐりゲージを用紙の上に垂直に置いて写す。
▼HL(ヒップライン)の両端点H、H'を基点に、前後中心線を引く。前中心線はウエスト位置で1cm、後ろ中心線は2cm倒す。

――脚は後方より前方に蹴り出す方が多いので、当然前より後の倒しが多くなる。倒す分量は渡り幅(脚部の太さ)によっておおよその見当をつける。渡り幅を狭く(脚部を細く)したいときは倒し量が多くなり、渡り幅を広く(脚部を太く)したいときは倒し量が少なくなる。これは、3つのブロックの構造理論による法則である。また、前後の倒しのバランスが悪いと全体のシルエットが崩れるので、ここでは前1cm、後ろ2cmを基本としておく。

 

【10A-2】▼スカート原型をそれぞれの中心線に合わせて写す。このとき、スカート原型のHLを点H、H'に合わせる。

【10A-3】▼股ぐりゲージを乗せ、点Hを基点にCP(クロッチポイント)の高さが1cm下がるところまで回転する。
▼HからCPまで股ぐり線をなぞる。
▼この角度のまま股ぐりゲージの中心線を下方に延長し、前の股下線とする。
▼新しいCPからCRL(渡り線)を水平に引く。

【10A-4】▼前スカートの脇線をHLに直角にCRLまで延長し、HLと脇線の交点をS1、CRLと脇線の交点をS2とする。
▼S1~S2の距離を測る。
▼後ろスカートの脇線も同様に延長し、HLと脇線の交点をS1'とする。
▼S1'からS1~S2と同距離を脇線上にとり、S2'とする。
▼S2'からCRLを水平に引く。

――CRLは前後で段違いになる。段差の寸法は後ろ中心線の倒し量によって変化する。重要なのは段差の寸法ではなく、前後のCRLが必ず平行(水平)になっていることである。

 

【10A-5】▼股ぐりゲージを乗せ、点H'を基点にCPがCRLより0.5~1cm下がるように回転する。※このとき、回転の中心は股ぐりのカーブのつながりを考慮して、点H'から下がった点を基点としてもよい。
▼H'(もしくは回転の基点)からCPまで股ぐり線をなぞる。
▼この角度のまま股ぐりゲージの中心線を下方に延長し、後ろの股下線とする。

――CPをCRLより0.5~1cm下げるのは、3つのブロックによる構造理論におけるBブロックとCブロックの隙間を減らすためである。「7.ヒップ下の余りを減らす方法」の①を参照のこと。

 

【10A-6】腰部~股部まで完成。

【10A-7】▼前後のCRLのそれぞれ中央をパンツの中心とし、そこから下に垂直線CL(クリーズライン)を引く。
▼脚部の幅、長さ、形状を決め、CLを中心に前後同寸で脚部を製図する。

【10A-8】▼前後の渡り幅と脚部の幅のバランスをとる。前脚部の幅を両端で平行に1cmずつ細くし、後ろ脚部の幅を両端で平行に1㌢ずつ広くする。
▼脇線はHLからKL(ニーライン)の間を自然なカーブでつなげる。
▼股下線はCPからKLの間を自然なカーブでつなげる。後ろの股下線が短くなった分は伸ばしにする。
▼CLをウエストまで延長して地の目線とする。

――カーブが自然につながらないようであれば、任意に脚部の太さの前後バランスを変えて調整する。そこは見た目による判断になる。

 

【10A-9】完成した基本形のパターン。

【10A-10】渡り幅と脚部の幅の間と、ヒップ下に存在する空隙を表した図。グレーの部分が余分な余りとなり、シワの要因になる。

――渡り幅とヒップ下の空隙は相関関係にある。このことを理解して、スカート原型の倒し分や脚部の幅を試行錯誤して、適切なバランスを見つけていただきたい。

 

次回は、平面製図によるスリムパンツとタックパンツの製図の説明をする。(次回は7月1日号)