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第十八章 ヘチマ襟・ヨーク袖3面構成ジャケットのパターンとデジタルトワルチェック

フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック 著:関川 政春

  • 学習・知識

前回コラムのブラウススローパーを用いて、幅出ししてジャケットスローパーを作成し、そこからヘチマ襟・ヨーク袖3面構成ジャケットへのパターンメーキングとデジタルトワルチェックについて解説します。それでは、始めましょう。

第十八章 ヘチマ襟・ヨーク袖3面構成ジャケットのパターンとデジタルトワルチェック

1.ブラウススローパーからジャケットスローパーを作成する

【図1】バックネック、フロントネック各ポイントで3mm、サイドネックポイントで5mm繰り下げジャケット用襟ぐり線に修正する。

【図2】線1から線11の切り開き線をひき、開き幅表数値を平行に開き身幅全体で40mm幅出しで着込みゆとりとする。

2.ジャケットスローパーのトワルチェックをする

【図3】①切り開いた位置の幅出し分を確認する。
②繰り下げ修正したジャケットの襟ぐり線を確認する。
③前面、背面から身幅の幅出し分量と袖の据わり角度などを確認する。側面から袖の振り角度などを確認する(60%不透明度設定でボデイが透けてみえることで目視確認できる)。

3.身頃を3面構成に分割する

【図4】①スローパーのウエストダーツ位置を上へ35mm、後ダーツを50mm、前補助ダーツを45mm、前ダーツを15mmそれぞれ脇へ移動する(赤線ダーツ)。
②脇線と前後中心線のウエスト位置を35mm上へ移動する。
③前後身頃を15mm離して配置し、その中心線を脇線(緑線)とする。後脇ダーツ分を図のように背中心へ2⁄3と後パネルダーツへ1/3に配分する。前脇ダーツ分1/2を前パネルダーツ分に配分する。3面分割である後パネル線、前パネル線をひく(赤線)。背中心線も引き直す。

4.身頃袖ぐり線と袖山線(袖の目)のマッチングをする

【図5】①左右袖幅で7.5mmずつ出し、袖ぐり線に合わせ調整する。
②袖を前後シルエット線でたたみ、袖の目と袖ぐり線を合わせ確認する。
③前後脇袖ぐり線のつながりを確認する。
④身頃と袖をパターン整理する。
⑤3面構成身頃をトワルチェックしパネル切替線のバランスを確認する。

5.身頃のマニピュレーションと袖の調整をする

【図6】①赤丸印を回転中心にして、肩線に近い切り開き線で肩パットの厚み5mm、後襟ぐり線に3mm、第四ノッチ位置に5mm、前襟ぐり線に10mm、第二ノッチに10mm配分する。前肩ダーツを閉じウエストダーツに開く。
②トワルチェックして、3面構成身頃のバランスを確認する。

6.袖の目を修正して2枚袖をつくる

【図7】①袖スローパーから前後シルエット線を20mm前側へ移動し、新たに畳み返して袖の目をつくる(赤線)。
②袖口線125mmの中点から直角に袖山ノッチを結び袖中心線とする。
③前シルエット線の両側に20mm平行線、後シルエット線に15mmの平行線をひく。内袖と外袖に分割し、取り出す。
④トワルチェックし2枚袖の前振り、据わりなどを確認する。

7.ヨーク袖をつくる

【図8】肩線を前肩に移動する。

【図9】①前後身頃からヨークパーツ(赤線)を取り出し、袖山第四ノッチから●印、第二ノッチから〇印で袖山線に統合する。
②トワルチェックしてヨーク袖のバランスを確認する。

8.ヘチマ襟をつくる

【図10】ヨークを切り離す前の前後身頃を用意し、サイドネックポイントで更に10mm繰り下げる。

【図11】①前後身頃を肩線で突き合わせ、前襟ぐり線25mm下の位置から肩線に25mm平行線をひきⓐ、ウエスト線と持出し線20mm交点ⓑを結び返り線とする。ヘチマ襟のスケッチ(赤線)をし、前襟ぐり線(赤線)をひく。
②返り線をミラー軸に前襟ぐり線を反転し、襟付け寸法ⓒで円弧を描く。襟外回り線寸法ⓓで円弧を描く。外接する襟後中心線をひく。
③襟を前身頃と続き襟にする(襟腰幅30mm羽根幅40mm)。

9.フロントラインを完成させ、フラップ、釦をつくる

【図12】①返り止まりⓑから脇線へ前端線~裾線をひき、23mmの釦を付ける。
②フラップを130mm×40mmで作成し、赤丸印を回転中心にして外周に1mmずつ開く。

【図13】外袖に釦20mm×4個付ける。

10.デジタルボデイの腕を使い、トワルチェックする

【図14】①3Dメニュー[PMプリフォーム]で、設定を[腕を下ろす B]にし、シミュレーションする。
②シミュレーションを停止し、ボデイの腕を抜きトワルを確認する。

11.完成したデザインパターン

【図15】ヘチマ襟ヨーク袖3面構成ジャケットとダーツギャザースカートのパターン。

12.ダーツギャザースカートとの組み合わせで、トワルチェックする

関川 政春(セキカワ マサハル)

2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長

現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる

2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開

※下記参照

活動

ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表

2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表

ウェブサイト http://masa-cad.com/
出版書籍 https://masacad.thebase.in/
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