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第二章 シャツパターン展開とデジタルトワルチェック(後編)

フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック 著:関川 政春

  • 学習・知識

前編に続いて、いよいよシャツパターンに展開する為のトルソーレングススローパー(以降 トルソースローパーと呼ぶ)が完成したので、解説を進めていこう。

第二章 シャツパターン展開とデジタルトワルチェック(後編)

2.トルソースローパーからの展開

トルソーとは、「背中」という意味で、トルソースローパーとは、ヒップ丈原型の総称である。ウエストを絞るXラインから絞らないHラインまでパターン展開が可能な汎用性の高い原型である。

【図9】トルソースローパーパターンとそのデジタルトワルチェックである。身頃にウエストダーツが製図されているが、ウエストを絞らない場合は、脇線のみ縫合する。 袖の振りや据わり、イセ込み分を確認しよう。

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【図10】婦人服に特有な胸ぐせ肩ダーツを閉じ、裾とアームホールに分散する。
後身頃の肩ダーツを閉じ、アームホールへ分散する。
裾線上のⓐを回転中心に、第一ノッチ位置ⓑを5mm開く。
裾線上のⓒと第三ノッチⓓを結んだ垂線を平行に7~10mm開く。

後開き幅>前開き幅の原理

後開き幅は、前開き幅の1.5倍が目安となる。

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【図11】前肩移動無しの袖は後へ逃げる傾向がある(Ⅰ)。前肩移動有りの袖は、前側へ収まる(Ⅱ)ので、原型肩線ⓔⓕを前側へ移動修正する。

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(3)パターン修正の第三ポイント

【図12】ドロップショルダーの袖付けは、限りなくシャツに必然のディティールである。ほぼ肩線の延長線まで袖が上がる据わりの浅い袖で、運動機能にすぐれていることが理解できる。

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【図13】前後身頃の肩線を突き合わせ、ショルダーポイントノッチ〇印から垂線 25mmひいた位置をⓖとする。
前後アームホールのカマ底から脇線下へ20mmくりさげた位置ⓗ、ⓘを補助線とし、袖の据わりを浅くするため、30mmの平行線をひき、袖幅線ⓙ~ⓚとする。
後アームホール線ⓖ~ⓗ寸法+5mmでⓖ~ⓛの後袖山線をひく。
前アームホール線ⓖ~ⓘ寸法+5mmでⓖ~ⓜの前袖山線をひく。
ⓖから袖丈200mmとし、袖脇線を完成させる。

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【図14】シャツカラー製図ポイント1は、身頃襟ぐり線の修正である。サイドネックポイントを5mm、センターネックポイントを10mmくり下げる。

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【図15】襟スタイル線ⓐ~ⓑをひく。
サイドネックポイントⓒから襟腰線を25mmとりⓓ、羽根幅を40mmとりⓔとする。
後襟付け寸法㋑を半径にした円弧をⓓ中心に描く。
後襟外回り線寸法㋺を半径にした円弧をⓔ中心に描く。

シャツカラーの製図ポイント2は、各部位の設計寸法を正確に製図することである。

【図16】襟後中心線x~y補助線に直角に交わるⓐ~ⓕをひき、ⓕ~ⓖを37.5mmⓖ~ⓗを25mmⓗ~ⓘを40mmの襟つけ線、襟腰線、襟外回り線を完成させる。いずれも参考寸法である。

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【図17】製図した襟を前襟ぐり線ⓐに突き合わせ、襟ぐりの丸味を写し取り(Ⅰ)、襟付け線を修正する(Ⅱ)。

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【図18】前述図15で解説したが、身頃襟ぐり線をくり込んで無い(A)、くり込んで有る(B)のパターン差で襟の外観をデジタルトワルで確認する。
(A)は、首回りに対して、ゆるみが少ないので衿に当たりがでている。対して、(B)は、くり込みで当たりが無い衿が確認できる。

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【図19】襟をデジタルトワルで確認する。

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【図20】完成したシャツのシルエットをデジタルトワルで確認する。

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【図21】点線は、表示しない設定も可能である。

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関川 政春(セキカワ マサハル)

2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長

現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる

2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開

※下記参照

活動

ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表

2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表

ウェブサイト http://masa-cad.com/
出版書籍 https://masacad.thebase.in/
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