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第二章 シャツパターン展開とデジタルトワルチェック(前編)

フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック 著:関川 政春

  • 学習・知識

今回は、婦人既製服特有の胸ぐせダーツをマニピュレーションで分散消去したシャツのパターンメーキングとそのデジタルトワルチェックをテーマに解説します。それでは始めましょう。

第二章 シャツパターン展開とデジタルトワルチェック(前編)

1.プリンセスラインスローパーからの展開

プリンセスラインスローパー(以降プリンセススローパーと呼ぶ)は、ヒップ丈4ピース、すなわち前、前脇、後脇、後、各身頃で構成された女性体形をパターン化した最も基本的な原型である。

【図1】実際のボディからドレーピングで作成されたプリンセススローパー平面パターンである。 ――前後サイドピースに、縦地の目線(黄色の縦線)が通してあるのが確認できる

【図2】そのパターンをデジタルボディに、着せ付けトワルチェックする。後述図7で解説するが、ヒップライン寸法の重なり目減りを補う為、ドレーピングでヒップ幅にゆるみ入れがしてあることを確認しよう。

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シャツパターンに展開するには、いくつかのパターン修正が必要となる。その理由は、プリンセススローパーは最も女性の体形を表現したものであり、シャツはアンドロジナス(両性具有)な性差のない、それとは真逆のアイテムであるからだ。

(1)パターン修正の第一ポイント

修正の第一は、後サイドピースのバストラインにある。

【図3】デジタルボディで地の目線(黄色線)を確認する。

【図4】実際ボディからドレーピングで作成したパターンのバストラインは凸状にカーブしているのが確認できる。

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(2)パターン修正の第二ポイント

ヒップレングス丈になるとパターンメーキング難度は、ウエストレングス丈に比較して数段上がってくる。その理由は、ボディのバストラインとヒップラインの水平切断面を比較すると明確になる。

【図5】黒線のボディ・バストラインと赤線のボディ・ヒップラインを重ねた図である。ヒップの周長面積が大きいということが理解できる。

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【図6】プリンセススローパーの後身頃と後脇身頃を〇印で突き合わせ、前身頃と前脇身頃を〇印で突き合わせる。前後脇身頃は、地の目線が垂直になるように配置してある。

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図6の水平切断面差異の原理 ヒップ断面>バスト断面 の原理からヒップラインで、重なり部分㋑と㋺が生じる。

結果、前後2ピースに修正したパターンが作成される。

【図7】パターン整理した前後身頃である。
前後脇身頃のアンダーアームが、バスト水平補助線にぶつかるまで第一ノッチ、第三ノッチを回転中心にパーツ㋩㋥を回転させる。水平補助線との交点から垂直線をひいて脇線とする。スローパーのウエストダーツ位置と分量を反映し、前後ウエストダーツ1本づつ、及び脇のウエストダーツ分量を定めてパターン整理したものである。

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【図8】デジタルトワルチェックすると、ウエストを絞ってないので、トワルのヒップラインが10mm下がるのが確認できる。前編はここまで。続きは後編をお読みください。

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後編を読む >>

関川 政春(セキカワ マサハル)

2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長

現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる

2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開

※下記参照

活動

ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表

2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表

ウェブサイト http://masa-cad.com/
出版書籍 https://masacad.thebase.in/

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