実践!レディース・パターン教室05(テーラード・ジャケットの作図・・・その3)~アパレル工業新聞コラボ企画~

パターンメイキングとトワルをアパレルCADで実践

  • 新聞掲載

アパレル工業新聞 2017年9月1日発行 5面
この記事・写真等は、アパレル工業新聞社の許諾を得て掲載しています。

テーラード・ジャケットのパターンメーキング・・・その3

このテーマで既に2回連載して、やっとストレート原型まで説明が終わりました。まだ先は長いですが、もう暫くお付き合いください。

さて、今回はこのストレート原型に構造線を入れて、3面ジャケット原型(シルエット原型)を完成させます。構造線を入れるといっても、ストレート原型を細かく切り刻んで展開するわけではありません。前述したように、原型の目的は①肩傾斜、②前後の天幅、③前丈と後ろ丈の3つの要素を設計するためだけであり、それ以外は基本的に平面製図で作図します。構造線を入れる際の囲み製図との違いは、すべての線を数値によって引くのではなく、ストレートの状態から求めるシルエットに変化したときの線を視覚的に捉えて引くことです。では、視覚的に捉えるにはどうしたらよいか?そこで、ボディーを使用してトワルを組み、立体上でシルエットを作っていく作業をやってみることにしましょう。

7.トワルによるシルエットの造作

前回[6.AタイプとBタイプの違い]で、2種類のストレート原型の違いを説明した。ここからはBタイプのストレート原型を使用して説明を進める。

【写真4】ストレート原型をシーチングで組み立て、ボディーに着せ付ける。襟ぐりは上がりでカットし、ボディーからの浮き分が分かるようにしている。

――Bタイプのストレート原型は、バストダーツ止まりの位置が本来のBP(バストポイント)よりずれているので、この段階でツレが出ていないか確認する。必要であれば、バストダーツの位置を修正する。

写真4のトワルを「パターンマジックⅡ3D」で実践

【写真5】各構造線のウエスト位置をピンでつまんで、全体のシルエットを作り込んでいく。つまむ量は各部位にツレじわが出ないようにダーツ量の配分を調節して決定する。ウエストにはくさび形の切り込みを入れる。以下、写真の順に

①肩甲骨からタテ地の目を垂直に下ろし、背中心をピンでつまむ。

②後ろカマ幅線をピンでつまむ。つまむ量はこの位置がもっとも多い。

③前カマ幅線をピンでつまむ。

④前ダーツ位置をピンでつまむ。

写真5のトワルを「パターンマジックⅡ3D」で実践

【写真6】ウエストをつまみ終えたトワルを脇から見た状態。このままでは前脇が腰にぶつかって脇線が前に振れるので、前カマ幅線の位置に切り込みを入れて、脇線が垂直になるように裾を開く。

――切り込みの長さは前カマ幅線のウエストつまみ量によるが、裾からウエストまでの3分の2程度を目安とする。

【写真7】縫い目に当たる部分をすべてピンでつまんでシルエットを作る。このとき、バスト寸法が設定通りになるように、BL(バストライン)上でのつまみ量が合わせて2センチになるように調節する。裾を開いた箇所はシーチングを裏から当てて補修する。

写真6,7のトワルを「パターンマジックⅡ3D」で実践

【写真8】袖ぐりの後ろの浮きに注目。この浮きは肩ダーツを後ろアームホールに逃がした分がそのまま浮きとなって現れているもので、肩ダーツを全量縫い取らない限り必ず発生する。この浮きの対処については後で述べるので、覚えておいて欲しい。

――ここまでは、細かな寸法設定は考えずにシルエット作りだけを目的にピンを打っていく。この作業は、求めるシルエットの構造線がどんなカーブになるか、また、各構造線のダーツ配分はどれくらいになるかを知るのが目的。それらを視覚的に(つまり見た目で)理解ができたら、後は平面上で作図をすればよい。

8.3面ジャケット原型の作図

ここからストレート原型に構造線を入れる作業に入る。ここで必要になるのは、各構造線のダーツ配分である。ここで初めてトワルのウエストをピンでつまんだ量を測り、大まかなダーツ量のバランスを把握する。その上で、求めるウエスト寸法になるように各ダーツ量を決定する。

【図22】決定したダーツ量を基に、ストレート原型に案内線を入れる。バストダーツは止まりの位置を移動しておく。※数値は参考値

【図23】案内線を目安に、求めるシルエットをイメージして各構造線を引く。このとき、前脇と後ろ脇の構造線はアームホールとの接点をそれぞれ1センチ内側に移動する。BL上のダーツ分は2㌢をキープする。

――アームホールとの接点を移動する理由は、アームホールと構造線の交差角度を緩くして、縫い代を無理なく付けられるようにするためである。

【図24】後ろ身頃と脇身頃を縫い合わせたときのアームホールのつながりを修正する。方法は次の2通り。

①出っ張った部分を削ぎ落とす。

②脇身頃のアームホールのカーブを浅くする。

今回は②の方法を選択する。

【図25】3面ジャケット原型の完成図。これをAタイプとする。

9.構造線の移動

3面ジャケット原型のバリエーションとして、もう一つ作図しよう。Aタイプは3面ジャケットの言わば標準型であるが、よりメンズライクなシルエットにするため、構造線の位置を移動したものを作る。

【図26】Aタイプで入れた前脇と後ろ脇の案内線を、そのまま2センチ後方にスライドする。

【図27】あとは同様に構造線を引いていくが、後ろ脇の構造線はアームホールとの接点を案内線と同じ高さにする。

【図28】もう一つの3面ジャケット原型の完成図。これをBタイプとする。

【図29】構造線の位置によるシルエットの違いを比較した図。ウエストと裾の断面形状の違いが外観のイメージに変化を与えている。

――ストレート原型に続き3面ジャケット原型にもAタイプとBタイプができて、合計4通りの原型になってしまったが、なにも好きで増やしている訳ではない。メンズライクという"テイスト"の部分をパターンでどう表現したらよいかを体系的に説明していくと、こうなってしまうのだ。これを理解していただけたら、以後はBタイプに絞って説明を続ける。次はいよいよ(やっと)襟の作図である。

Aタイプのトワルを「パターンマジックⅡ3D」でシミュレーションした結果

Bタイプのトワルを「パターンマジックⅡ3D」でシミュレーションした結果