国・地域の選択

プレスリリース


東レACS「設計力が競争のキモ 服づくりの匠をサポート」アパレル工業新聞掲載

2016年2月1日 アパレル工業新聞掲載

東レACS「設計力こそ日本アパレルの競争力 服づくりの匠をサポート」

 輸入品の市場浸透率は九〇%台の後半で高止まりが続いている。脅威の一つとしてグローバルSPAのZARA、H&Mが随分影響してくると思っている。ZARAのビジネスモデルは、企画してから作って運んで店に並ぶまでに二~三週間のリードタイムでやっている。日本は半年のリードタイムでやっているので、すごく大きな差がある。全体の六〇%を占めるファッション性のあるものは全て空輸している。週の決まった曜日に必ず新しいものを入れてくる。日本が一番得意なアッパーミドルのところがZARAに喰われている。
 そういうところとどういう形で競争していくのか。希少性があって、真似が出来ないようなものを強味にしないと差別化は出来ない。それは何か。設計力だ。これは修得するのに時間がかかる。もう一つは、アパレルの製品自体、摺り合わせ型の製品。クルマは部品の微妙な調整があって乗り心地とか性能がでている。洋服も同じで、微妙な着心地とかデザインなどがモノ作りのところで作り込まれて表現される。そこでいちばん中心になるのは設計。製品は設計情報を素材に転写したもの。素材に転写する設計情報が良くなければいいものは出来ない。その設計情報を作る設計力は一朝一夕には出来ない。グローバル戦略的にも希少性があり、ブランド化するなり分かるような形で消費者に訴求をしていくというのが日本の差別化になるのではないか。
 では設計力は何か。素材は平面で何とでも形が変わる。着る人間は立体なので、平面と立体との変換が設計力のキモだと思う。汎用的な量産品はトワルチェックという工程があり、平面と立体との整合性を取る。しかし、今は、納期は短くなり、コストは下げられ、トワルもやってられなくなり、結果的には設計品質は落ちる。
 我々が出来ることはデジタルとしての設計ツールを提供すること。具体的に言うと、デジタルトワルという形で訴求しようと思っている。デジタルトワルは仮想的なボディーを使って作った型紙を当てはめて欠点があるかどうか確認する作業になる。デジタルは試行錯誤がいくらでもでき、保存が利く。それを再加工することもできる。人材教育の面でも平面と立体の関係性を勉強することが出来る。まだ完全に出来上がっているわけではなく途中経過だが、四月に発表するバージョンアップ3ではそれがある程度実現できるようにしたい。設計品質を高めるための道具として使ってもらいたい。これが出来れば普通のトワルの置き換えにもなる。もう一つ考えているのは、グレーディング後にトワルチェックをやりたい。サイズを大きくしたり小さくしたときに、ボディーにちゃんとフィットするのかなど確認するのがベター。これが出来れは将来的にはパーソナライズに繋がり、一人ひとりのボディーにマッチした服を作るようになると思う。
 ZARAの弱みはグローバルでやっているのでどこの国にも同じ製品を出している。でも体つきはその国で相当違う。そこに日本の勝機がある。面倒なことをやるのが日本人が得意なところ。そこを伸ばして行かなければいけない。