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東レACS「設計力こそ日本アパレルの競争力」繊研新聞掲載

2016年1月20日 繊研新聞掲載

東レACS「設計力こそ日本アパレルの競争力」

 「設計力こそ日本のアパレル産業の中核的な能力ではないか」と、多田明博東レACS社長は話す。しかし、短納期・低コストが優先され、設計品質が低下しているとも指摘する。アパレルCAD(コンピューターによる設計)「クレアコンポⅡ」を「良い服を作るための設計ツール」に磨き上げる考えだ。
 製品とは設計情報を素材に転写したものであり、アパレル製品では特に、設計情報と素材のすり合わせがポイントになる。そして「衣服設計には理論と経験に基づくスキルが必要だ。こうした衣服設計の人材は、日本が量・質ともに高い水準にある」と多田社長は評する。その設計力が日本のアパレル製品の差別化の中核になるべきという。しかし、短納期・コストダウン志向は、衣服設計人材の育成が課題となる事態を招いているとみる。
 クレアコンポⅡのバージョン3を4月にリリースする。「ウインドウズ10」への対応と、「良い服を作るための設計ツール」に磨き上げる取り組みの第一歩がその主な内容だ。後者は3D機能の強化によって、衣服設計プロセスの改革とともに、立体イメージのデザイン画から平面のパターンへの変換能力を養成する人材育成を目指している。
 人材育成では、3Dを設計ツールとして使いこなす方法論を確立し、これをトレーニング教育に具体化することが課題だ。平面の製図のスキルを生かしきる3Dツールの使い方が柱になる。近く大野順之助プラット・インスティチュート名誉教授を講師とする講座を設ける予定という。さらに将来的には、そのスキルを生かした設計による服のブランド化が課題になるとみる。技量を持った人の名でブランド化できないかと考えている。