第十四章 Bar Jacketのパターンとデジタルトワルチェック

フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック vol.14 著:関川 政春

  • コラム

今回は、DIOR社の「Bar Jacket」をテーマに取り上げます。新たに3Dボデイとしてリリースされたアミコファッションズの「Miss 10 1st Edition」を使用して、パターンメーキングとデジタルトワルチェックを解説します。それでは、始めましょう。

第十四章 Bar Jacketのパターンとデジタルトワルチェック

1.Bar Jacketとは

1947年にDIORが発表した「ニュールック」その中心的なアイテムがBar Jacketである。紳士服の機能性に富んだ構造・ディテールを取り入れながら、従来のエレガントに革新性を持たせた、いわゆる「ファンシーテーラード」といわれるジャケットである。

Bar Jacketのパターン的特徴

婦人服特有の胸ぐせ処理や曲線的な体躯をシルエットに表現したパネルラインやプリンセスラインのエレガントなテーラードジャケットで、以下の特徴がある。

(1)引き締まったウエスト

(2)なだらかなショルダー

(3)強調したヒップライン

(4)首元を開ける

(5)メンズライクな2枚袖

(6)メンズライクなテーラードカラー

(7)ダブルブレスト(ダブルの前打ち合わせ)など

本篇では、ドレーピングで作成したプリンセススローパーから、平面操作による幅出しでジャケットスローパーへの加工、マニピュレーションによるシルエット構成などPattern Magic ⅡとPattern Magic Ⅱ3Dによる効率的で高品質なパターンメーキングと3Dチェック方法を述べる。

2.プリンセススローパーをデジタルトワルチェックする

プリンセスラインスローパー(以降プリンセススローパーと呼ぶ)は、ヒップ丈4ピース、すなわち前、前脇、後脇、後、各身頃で構成された女性体形をパターン化した最も基本的なスローパー(原型)である。

【図1】実際のMiss 10 1st Editionボディからドレーピングで作成したプリンセススローパーを平面操作で30mm幅出ししたパターン。

【図2】そのスローパーを3D Miss 10 1st Editionボディに、着せ付けトワルチェックする。

【図3】袖付けの要位置である第1ノッチと第3ノッチを結んだ直線と袖中心線が直角に交わる。

3.ジャケットスローパー身頃のマニピュレーションをする

身頃のマニピュレーションで、ジャケットに必要な修正を加える。Manipulationとは、ダーツの操作法のことで(1)ダーツの移動、(2)ダーツの分散、(3)ダーツの分割などを指す。

【図4】着丈を570mmにしたプリンセススローパーに展開線をひく。肩線に近い展開線は、肩パットの厚みを開く。ダーツ各ポイントからの展開線は、ダーツ分量をゆるみ分散する。脇線に近い展開線は、アームホール幅(カマ幅)にゆるみを加える。

【図5】赤丸印を回転中心に、パーツを回転させて数値(赤字)を開く。

【図6】襟ぐり線を、前後で3mm肩線で5mmくり下げる。

4.袖山線のマッチングをする

袖ぐり線の切り開き分量合計の1/8を、矢印4方向に出して、不足する袖の目を調整する。

【図7】後袖ぐり線で、18mm、前袖ぐり線で19mmが切り開かれたので、その分量が袖山線で不足する。平行グレーディング(段階付ける)の要領で、原型の袖の目(点線)を4つのポイントで外側へ拡大し、実線の袖の目にする。

【図8】身頃袖ぐり線の第1ノッチ第3ノッチを、直線で結んだ線と袖の目の第1ノッチと第3ノッチを結んだ線が平行になるように回転中心で袖の目を回転させる。 袖のベストマッチング状態である。

5.2枚袖パターンの作成

【図9】①袖の目から袖丈を600mmに延長し、前後シルエット線でミラー展開した袖原型を用意する。
②前後シルエット線を20mm、袖中心線を40mm右側へ移動し、それを折り線にタタミ直し、新たな袖の目をつくる。
③袖ぐり線に、袖の目をマッチングして確認する。

【図10】①袖口線を10mm右へ延長、袖口幅½の125mmに修正、袖口線中点から袖中心線を引き直す。
②前後シルエット線(赤線)を新たにひき直し、袖中心線に直角な袖口線に修正する。
③シルエット線(赤線)に20mmと15mmの平行線をひき、直角に交わる位置に袖の目(点線部分)を反転する。
④外袖(黒線)と内袖(赤線)に分類し、⑤内袖を取り出し、肘線から下を回転中心(赤丸)で5mm回転、⑥トワルチェックする。

6.Bar Jacketの身頃シルエットをつくる

【図11】①スローパーのウエスト線を、25mm上に移動し、ヒップ線で各10mm幅出し、Barシルエットに修正する。
②後上身頃をウエスト線回転中心(赤丸)で、20mm左側へ倒し、背中心のくせ取りをする。
③ボディの背中心をハイウエスト位置に修正する。
④トワルチェックする。

7.Bar Jacketのダブルブレストとテーラードカラーをつくる

【図12】①上襟付け図を確認、②後身頃に、上襟の外回り線をひく。
③前身頃に持出し60mmをひき、サイドネック(青丸印)から、25mm下で肩線に30mm(襟腰幅35mm-5mm)平行な線をひきⓐとバスト線交点ⓑを結んだラペル返り線をミラー軸に、フリーハンドでスケッチしたラペル(点線)を反転、前襟ぐり線を完成させる。襟ぐり線をミラー展開する。

【図13】前後身頃を肩線で突き合わせ、襟付け寸法(赤実線)㋑を半径とする円弧をⓒ中心で描く。
襟外回り寸法(赤1点鎖線)㋺を半径とする円弧をⓓ中心で描く。
2つの円弧に外接した後中心線をひく。
その線と直角に交わる補助線をひき、襟付け線、襟腰線、襟外回り線をそれぞれひき、上襟が完成する。

8.Bar Jacketのトワルチェックをする。

【図14】完成したダブルブレストの前身頃と6釦、ラペルと上襟、2枚袖と袖口4釦などをトワルチェックする。(実際のトワルチェック作業と同様に、各基準線へのフィットや地の目線を重視してシルエットを確認する)

9.フロント切替パネルをつくる。

【図15】①前脇身頃の下ピースを、緑線で切り離し前身頃に突合せる。
②切替口線をカーブ線に修正し、1つのピースにする。
③前脇身頃を赤線で切り離し、取り出す。
④メニュー[配置]で、前身頃を重ね順5(ボディより一番外側)に設定、⑤3Dシミュレーションで、切替口線の浮きを確認する。

10.Miss10 1stEdition(ドレスフォーム)ボディに、Aラインスカートを組み合わせ、スーツとしてのバランスを確認する。

【図16】①単品、②スーツのシルエットを3Dで確認する。

11.Human Body(痩身体タイプ)に、Aラインスカートを組み合わせ、セットアップ時のアイテムバランスを確認する。

【図17】図16のBar Jacketとスカートのセットアップ。

【図18】スカート丈を60mm延長し、バランス確認する。

関川 政春(セキカワ マサハル)

2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長

現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる

2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開

※下記参照

活動

ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表

2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表

ウェブサイト http://masa-cad.com/
出版書籍 Pattern Magic & Digital Toile Lesson レディーステーラードジャケット編 【電子書籍】

3Dバーチャルフィッティングソフト
パターンマジック®Ⅱ3D