第九章 コートパターン展開とデジタルトワルチェック
フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック 著:関川 政春
- 学習・知識
今回は、レディースのPコートを取り上げます。「幅出し」してコートスローパーを作成し、やや背中に添わした感のある着やすいシルエット、襟元を開けても、止めても着用できるコンバーテイブルカラーのパターンメーキングとデジタルトワルチェックをテーマに解説します。それでは、始めましょう。
第九章 コートパターン展開とデジタルトワルチェック
1.トルソースローパーの幅出し
トルソースローパーのコート用幅出しについて述べる。
【図1】前後身頃の図示した位置に展開線をひく。
袖の第二、第四ノッチから垂直の展開線と凹線を結ぶ。
デジタルトワルを組み立てて、トルソースローパーの展開線位置を確認しよう。
ーーー前後ウエストダーツは、たたまず、脇は垂直線とする。
【図2】メニュー『切り開き展開』で、幅線1から線11まで図の数値を入力し、コート用の幅出しをする。
【図3】襟ぐりを前後中心線で、6mm、肩線の交点で、10mmくり下げる。袖ぐり線を脇線で20mmくり下げる。
袖山線を脇線で身頃くり下げ分の1/2の10mmくり下げる。凹線で10mm開く。(ダーツ分量は一定)
【図4】幅出ししたコートスローパーをデジタルトワルチェックし、襟ぐり線のくり下げや身幅全体で80mm幅出しを確認する。
【図5】幅出ししたコート原型に、マニピュレーションするための展開線を、前後身頃と袖にひく。
【図6】身頃のマニピュレーションを解説する。
着丈を700mmにし、ウエストダーツ幅を2/3に減らす。後ウエストダーツ位置を右方向へ70mm、上方向へ15mm移動する。前ダーツ位置を、上へ15mm移動する。
赤丸印を回転中心にして、後襟ぐり中点に3mm、第四ノッチに5mm、残りを肩ダーツ位置へ分散し、いせ込みとする。
赤丸印を回転中心に、前襟ぐり中点と第二ノッチに15mm、肩ダーツを閉じてその反動を裾線へ開く。
襟ぐり線赤丸印を回転中心に、肩パットの厚み分10mmをアームホールで開く。
【図7】袖のマニピュレーションを解説する。
袖丈を600mmにし、線1から線6まで図の数値で開く。
【図8】移動したウエストダーツ線をパネル線に修正する。
後中心に15mmのくせをとる。前と脇身頃を15mmあけて統合し、中間線が脇線、カマ底前脇側にノッチとし前持出し70mmを付ける。
【図9】袖の目を移動して、肘から袖口にかけて、捻りのあるシルエットにする。
①袖原型の前後シルエット線を右側へ20mm、袖中心線を右へ40mm移動して袖脇線、袖中心線を第五ノッチからとする(赤線が完成パターン)。
②移動した前シルエット線(赤線)と袖口線(緑線)交点から右側へ15mm出し、そこから袖口幅1/2の150mmを水平にとる。
その中点と第五ノッチをむすんだ袖中心線と直角に交わる袖口線(黒線)をひき直す。
袖口線左側基点と袖の目角をむすび、その線と肘線交点から10mm出して後シルエット線、肘線交点を通る前シルエット線をひく。
③前シルエット線(点線)両側に20mm、後シルエット線(点線)両側に15mm平行線をひき、内袖と外袖切り替え線とする。
【図10】完成した2枚袖をアームホールにマッチングする。
【図11】肘から袖口に向かって、やや捻りのある2枚袖をデジタルトワルチェックする。
【図12】コンバーティブルカラーを作成する。
コンバーティブルとは、前端を閉じても、開いても着用できる襟の意味である。
【図13】肩線で身頃を突き合わせ、前中心線で5mmくり下げて前襟ぐり線をひき直す。
バストラインの下がった位置から前端線交点を求め、ラペル返り点ⓐとする。ⓐを通る直線ⓧと前襟ぐり線交点をⓑ、肩線との交点をⓒとする。ⓑから垂線20mmⓓをひき、その中点とⓐを結び、ラペル返り線とし、襟のⓑまでとラペル部分を反転し(点線)襟ぐり交点をⓔ、前中心ノッチをⓕとする。
【図14】円弧㋑は、ⓓ~ⓕを半径とする。円弧㋺は、ⓕから25mmを半径(襟元を閉じた時のゆるみ分をみる)とし、交点ⓖを求める。
【図15】肩線交点ⓒから襟羽根幅55mmをとり、ⓗとする。襟付け寸法㋩の円弧をⓓ中心に描き、襟外回り寸法㋥-25mmの円弧をⓗ中心に描く。
【図16】襟後中心線の補助線㋭~㋬をひく。ⓖより、襟幅線80mmをひきⓗとむすぶ。 ⓓより直角に交わる補助線をひき、10mmの位置から襟付け線、30mmの位置から襟腰線、羽根幅55mmをとりⓘ、襟外回り線として襟先と結ぶ。
【図17】襟を襟付け止まりに合わせ、開いた襟元の襟腰線(赤線)をひく。
【図18】別台襟に切替、台襟を立てて首に添わせる。A図は1枚襟、B図は台襟別仕立ての2枚襟。
【図19】①釦止めして襟元を閉めた状態、②ラペルで折り返し襟元を開けた状態をデジタルトワルチェックする。③は別仕立ての台襟を上襟非表示にして確認する。箱ポケット(170×45mm)を製図し、配置する。
【図20】ミラー表示機能を使って、半身パーツでデジタルトワルチェックし、シルエットや袖の振りを確認する。
関川 政春(セキカワ マサハル) 2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長 現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる 2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開 ※下記参照 |
活動 | ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表 2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表 |
ウェブサイト | http://masa-cad.com/ |
出版書籍 | https://masacad.thebase.in/ |