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第五章 ジャケットパターン展開とデジタルトワルチェック

フラット・パターンメーキングとデジタルトワルチェック 著:関川 政春

  • 学習・知識

今回は、婦人既製服上物アイテムで定番の3面構成テーラードジャケットのパターンメーキングとそのデジタルトワルチェックをテーマに解説します。それでは、始めましょう。

第五章 ジャケットパターン展開とデジタルトワルチェック

1.ジャケットスローパーからの展開

「体へのフィット性の高いジャケット原型」から展開する方法を説明する。

【図1】後ウエスト1本ダーツ、前ウエスト2本ダーツの身頃と袖のジャケットスローパー(フィット)を用意する。

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【図2】デジタルトワルチェックで、シルエットを確認してみよう。
ーーージャケット用なので襟ぐりを前後中心で3mm、サイドネックで5mmくり下げていることが確認できる。

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(1)パターン修正の第一ポイント
身頃3面分割のパネル線をバランス良くつくる。

【図3】後ウエストダーツ、前ウエスト補助ダーツ、前ウエストダーツを下図のようにタテ、ヨコ方向へ移動する。

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【図4】前後身頃を脇線で15mm離して配置し、その中心線(緑線)を脇線とする。
背中心ウエストダーツ分をⓐ、後パネル線ダーツ分をⓑ、前パネル線ダーツ分をⓒとして、ジャケット原型と同じ絞り配分とする。

【図5】身頃の3面分割を完成させ、肩パットの厚み展開線、前後肩ダーツのマニピュレーションのための展開線、フラップポケット線をひく。

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(2)パターン修正の第二ポイント
身頃のマニピュレーションで、前後肩ダーツ分量を移動、分散する。

【図6】後身頃の肩ダーツポイント()を中心にして、襟ぐり3mm、袖ぐりに5mm分散し残りを肩線イセ分とする。
前身頃の肩ダーツポイント()を回転中心にして、襟ぐりに5mm、袖ぐりに5mm分散して、肩ダーツを閉じて、残りをフラップポケット切り替え線に移動する。
()を回転中心にパーツ㋑を回転してウエストダーツ分を閉じ、裾線に開く。肩パットの厚み分を5mmで、襟ぐりに回転中心をおいて、それぞれ袖ぐりへ開く。

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【図7】3面分割した前後脇身頃を、デジタルトワルチェックする。背中心のシェィプを確認しよう。

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【図8】トワル脇線がボディ脇線と一致や、ウエストシェィプのバランスなどを確認する。

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(3)パターン修正の第三ポイント
ピークドラペルとフロントカット線をきめ、上襟の製図を正確にする。

【図9】前後身頃のサイドネックポイントを5mmくり下げる。

【図10】上襟の襟腰寸法30mm、羽根寸法40~45mmを図のようにとり、上襟の外回り寸法をⓐ~ⓑとする。

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【図11】前後身頃を肩線で突き合わせ、サイドネックポイント(SP)から前襟ぐり線上に25mmとった位置から上襟腰寸法-5mm=25mmを肩線に平行にひきⓧとする。
ウエストラインと前中心線から20mmの前端線交点ⓨを直線で結びラペル返り線とする。
ピークドラペルのデザイン線を右図のようにスケッチし、上襟のゴージラインから上襟仕上がり線を描く。
ウエストダーツポイントをバストラインから、35~40mm下に移動する。

【図12】ラペル返り線をミラー軸に、ラペルを反転する。ゴージラインを延長して、襟ぐり線との交点を求める。
襟付け寸法(赤実線)を半径とする円弧を反転した側に描く。
襟外回り寸法(赤1点鎖線)を半径とする円弧を上襟と肩線交点を中心に円弧描く。
円弧に外接する上襟後中心線の補助線をひき、㋭からその線に直角に交わる位置を求め、そこから2.5~5mmの襟付け線角から襟腰幅を30mm、更に羽根幅を40~45mmとり、襟付け線、襟腰線、襟外回り線をひき、上襟を完成させる。

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【図13】前端線を丸くカットし、ウエスト位置に1釦止めとしたパターンをボディに着せ付けデジタルトワルチェックする。

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(4)パターン修正の第四ポイント
ーーーレディースタイプの袖原型を用意し、袖の目をメンズタイプに修正する方法を解説する。

【図14】袖原型の前シルエット線と後シルエット線を右側へ20mm平行に移動し、新たなシルエット線とする。
新たな袖中心線を袖山ノッチ位置に引き直し、前後シルエット線をミラー軸に、袖をたたみ直す。袖下線が、修正される。

【図15】前後脇身頃を突き合わせて、アームホールを構成し、袖の目の袖下線交点とアームホールの脇線交点(ノッチ)に突き合わせ袖カマ底のバランスを確認する。

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【図16】前シルエット線(修正前)と袖口線交点から、袖口幅250mmの1/2である125mmを左にとり、その線の中点から袖山ノッチと直線で結び袖中心線を変更する。
修正した袖中心線に直角に交わる袖口線をひき直す。
肘線と前シルエット線(修正前)交点から10mm内側へくり込み、袖口線と袖の目角を直線で結び、肘線との交点から20mm外側へ出す。
前シルエット線と後シルエット線をつながり良い曲線にひき直し、新たな2枚袖前後のシルエット線とする。

【図17】前シルエット線に20mm平行な線、後シルエット線に15mm平行な線を左右にそれぞれひき、内袖、外袖の切り替え接ぎ線とする。

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【図18】不要な線を消し、肘線など内部線をひき直しパターン整理して、身頃アームホールカマ底と2枚袖のマッチングを見てみよう。
ーーー脇身頃アームホールのカマ底ノッチと内袖のノッチを突き合わせて、袖バランスを確認する。

【図19】内袖を外袖から抜き出し反転し、外袖明き見せに釦4個付けて2枚袖の完成である。

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【図20】身頃アームホールと袖山ノッチ位置を調整しイセ込み分の適正配分をする。

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2.3面構成テーラードジャケットのデジタルトワルチェックをする

【図21】完成した全身パターン(四角枠内は半身)を着せ付けデジタルトワルチェックをする。
ーーーピークドカラー、2枚袖の前振りと据わり角度、両玉縁フラップポケット、ハイウエスト位置のウエスト絞り、フロントから裾線へのカットなどを主に確認する。

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関川 政春(セキカワ マサハル)

2002年~2017年 国際トータルファッション専門学校 校長

現在は校長を退任し、同校の非常勤講師としてアパレルCAD教育に携わる

2017年6月にデジタルトワル研究についての書籍出版と同時にウェブサイトを公開

※下記参照

活動

ファッションビジネス学会全国大会(2016年開催)で、3Dトワルを活用した「婦人テーラードジャケットのパターン&3Dシミュレーション検証」を発表

2017年11月25日開催のファッションビジネス学会全国大会において、デジタルトワルの活用事例を発表

ウェブサイト http://masa-cad.com/
出版書籍 https://masacad.thebase.in/

3Dバーチャルフィッティングソフト
パターンマジック®Ⅱ3D

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