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プレスリリース


東レACS ニーズに沿った生産効率化支援(繊維ニュース掲載)

パートナーと呼ばれる存在に

東レACSは10月、創立20周年を迎える。 CADシステム「クレアコンポⅡ」をはじめとした各種のツールを活用して、アパレル生産の現易の効率化を支援してきた。 アパレル業界にもデジタル化の波が押し寄せる中、松田浩社長は「アパレルピジネスの真のパートナーであり続けたい」と決意を新たにする。

「簡易CG」の活用提案

 アパレル業界でも、デジタル技術で企業を変革するデジタルトランスフォーメーション (DX)の機運が高まっている。3次元(3D)CGにも注目が集まっているが、実際に導入しても充分に活用できないケースが後を絶たない。CG制作には専門知識·技術を持つ人材の確保と導入コストを要するが、全工程で高品質なCG製作を前提にして無理に導入を進めると、失敗につながるのが実情だ。

 同社は、こうした課題を克服する手段として「簡易CG」を提案する。パタンナー自身が、デザインを確認する簡易なCGを生成する。企画·設計段階でデジタルトワルを取り入れるとにより、サンプル製作を省略化し、材料費の削減やデザイン工程の短縮を実現させる。

 一方、先へと進んだ生産· 販売段階では、高品質な「リアルCG」を採用する。専門のクリエーターが、CG製作用のソフトウエアを駆使して、購買意欲を喚起するデジタルサンプルに仕上げる。 リアルCGは、オンライン展示会や電子商取引(EC)サイトに出品できる。販売に直結する場面での使用を目的とする。

 このように、CGを企画·設計段階と生産・販売段階で使い分ける「適材適所のツール活用」の発想で、順客の事情に応じた支援を推し進める。

 リモート会議の増加を見据え、同社のパターンメーキングソフト「パターンマジックⅡ3D(PMⅡ3D)」を使ったデザイン共有の提案にも力を注ぐ。イメージトワルをデジタル化するとで、短時間で複数パターンのデザインを確認できるようになる。デザイン変更のリスクを抑え、生産ロスを減らせる。

 PMⅡ3Dは、機能を絞り習得を容易にした。1日200円から利用できる。 型紙に忠実な立体表現を可能にするため、シミュレーションを独目に掲発。CGソフトとデータ連携し、リアルなCGを作成することもできる。

 組み合わせを推奨する施策の一環として、3Dでの写実的なイメージを出力するソフト「キーショット」の取り扱いを開始した。キーショットは、3次元CADデータから、簡易な操作で、写真と同質の画像やアニメーションを出力できるツール。「フォトンマッピング」 と呼ばれる光線光学シミュレーションを基礎としたレンダリング技術が搭載され、精緻なイメージを短時間で生成する。

 同ソフトは米国・ルキシオン社の製品で、東レACSは日本国内の販売代理店を担う。低価で扱いが簡易なキーショットとの組み合わせを訴求材料にして、PMⅡ3Dを多様な用途に向けて提案していく。

 2021年度は、進化を図ったPMⅡ3Dの「高機能版」を投入する計画。高機能版の導入により、利用頻度の高い生地の物性を簡易的に表現したり、3Dスキャナーのデータを取り込み、着装イメージを正確に作成することができる。

 「簡易」から「リアル」まで、レベルに幅を持たせた提案で、多様な顧客ニーズに対応する。

現場の見える化推奨

 縫製仕様書・帳票連携ソフト「XIFORM MAGIC(サイフォームマジック)」を活用した、業務改革支援サーピスも強化する。9月から、作成した縫製仕様書のデータをクラウド上で管理するサーピスを始めた。 並行して、簡単な無線ボタンの操作で、縫製などの工程の情報収集ができるシステム「工場コックピット」も提案する。ITツールの販売だけでなく、顧客が抱える生産の課題に応じた技術的支援でも存在感をアピールする。

 サイフォームマジックは、国内のアパレル生産を担う企業に、縫製仕様書を作成するツールとして使われるケースが多く、機能性や操作性で高評価を受げている。今後、アパレル製品の企画から生産まで、さまざまな工程で改善を図るために、活用の場を広げていく。

  新サービス「サイフォームマジック・クラウド」は、東レACSが管理する「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」のクラウド環境にデータを保存する。バックアップなどの運用は同社が担うため、利用者はシステム運用の負担から解放される。

 サイフォームマジックとの完全互換で、クレアコンポⅡのCADデータと連携させることもできる。個別のパソコンにインストールすれば、テレワークでの使用も可能になる。

 サイフォームマジック・工場コックピットは、工場向けの工程進捗(しんちょく)管理システム。現場に設置した小型無線ボタンをオペレーターが押し下げると生産数をカウントする。生産計画と実際の進行状況との対比を、パソコンやスマートフォンのブラウザに表示できるため、現場から離れた場所での生産状況の管理にも適している。取得データは生産日報の作成や工程分析にも活用できる。

 東レACSが目指すのは「デジタルとアナログの融合」。コンピューターが苦手であったり、デジタルに抵抗感を持つ人たちにも、安心して簡単に習得できるツールを適正価格で提供することに注力する。デジタル化がもたらすメリットを、誰もが享受できるアパレル業界の実現に貢献していく。

繊維ニュース 2020年(令和2年)9月15日発行

この記事は『繊維ニュース』を発行するダイセンの転載許諾を受けています