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No.019 ドロップショルダーの作図

実践!レディース・パターン教室 著:菊地 正哲

  • 学習・知識

アパレル工業新聞 2020年1月1日発行 4面
この記事・写真等は、アパレル工業新聞社の許諾を得て掲載しています。

ラグランスリーブの作図から引き続き、今回はドロップショルダーの作図です。

考えてみればラグランスリーブとドロップショルダーは、結構似ています。肩から1枚続きで袖に繋がり、身頃と一体となったラグランスリーブを、肩先から好きな分だけ落とした位置で袖を切り離したら、これでドロップショルダーの出来上がりです。まあ好きな位置と言っても限度はありますが、単純に考えればそういうことです。また、平面製図でドロップショルダーの作図をしようとした場合、袖山の高さの設定や袖底のカーブの描き方に意外と悩んだりするのも、ラグランスリーブの場合と似ています。

そこで今回は、せっかく前回ラグランスリーブの作図法を実践しましたので、同じ考え方でドロップショルダーの作図を実践しましょう。基本的な考え方は、まずは"セットインスリーブ有りき"です。

1.ドロップショルダーの3つのタイプ

一口にドロップショルダーと言っても、そのシルエットと構造にはいくつかの種類がある。キモノスリーブのような平面的なものもあれば、ドルマンスリーブに切り替え線を入れただけのものもある。ここではセットインスリーブが変化したものを基準にして、アームホールにカマ底のカーブがしっかりあるものをドロップショルダーと呼ぶことにする。

そのドロップショルダーを次の3つのタイプに分類して、それぞれの作図法を紹介する。

【写真1】『続きドロップショルダー』文字通り肩から面一で袖に繋がっている、ドロップショルダーの代表的なタイプ。シルエットはラグランスリーブに類似している。

【写真2】『2段ドロップショルダー』肩先から1段傾斜し、袖山でもう1段傾斜するタイプ。コクーンのように肩を丸く見せたいときに有効。

【写真3】『ルーズドロップショルダー』オーバーサイズのビッグシルエットのため肩が落ちているタイプ。これをドロップショルダーと呼ぶか否かはともかく、ひとつのシルエットとして分類はできる。

――3つのタイプの呼称は筆者が勝手につけたものであるので悪しからず。ドロップショルダーをラグランスリーブやドルマンスリーブのような続き袖の仲間に入れるか、それともあくまでセットインスリーブが変化したものと捉えるかで、その設計思想は違ってくるのだ。

2.続きドロップショルダーの作図(セットインスリーブからの展開)

セットインスリーブの袖山の一部分を切り離し、パターン展開で身頃にくっつける作図方法。ドロップ度(落とす寸法)は控えめだが、セットインスリーブに近い構築的なシルエットを作ることが可能である。

【図1】セットインスリーブの袖山にドロップした袖山線を描く。その際、なるべく袖底のカーブを変えないようにする。※袖山の高さはアームホール寸法の30%以下が望ましい。

【図2】袖山を切り離し、身頃のアームホールにくっつける。展開線は袖山線に直角になるように入れる。

【図3】完成した続きドロップショルダーのパターン。アームホールの中間部には伸ばしが入る。

図3を「パターンマジックⅡ」でシミュレーション

3.続きドロップショルダーの作図(ラグランスリーブの応用)

前回紹介したラグランスリーブの平面製図を応用した作図法。基本的な考え方はセットインスリーブからの展開と同じだが、袖の傾斜やドロップの寸法を目で見て決められるので、出来上がりのイメージを想像し易い。

【図4】ラグランスリーブの製図と同じ方法で作図をする。その際、ラグラン線ではなくセットインスリーブの袖山線を描く。

【図5】ドロップ寸法を設定し、ドロップした袖山線を描く。その際、なるべく袖底のカーブを変えないようにする。グレー部分の面積を変えずにドロップした袖山線をアームホール側に移動する。

4.2段ドロップショルダーの作図

これも基本的な考え方はセットインスリーブからの展開と同じである。2つの袖山を引く手間はかかるが、それぞれの山の高さを変えることで出来上がりのシルエットを様々な表情に変えることができる。

【図6】2つの袖山を作る。※袖山Aはアームホールの25%、袖山BはAの袖口寸法の25%に設定。

【図7】袖山Aを身頃のアームホールにくっつける。たたまれた分は伸ばしになるので、伸ばしが可能な寸法になるように袖山Aの高さを設定する。

【図8】完成した2段ドロップショルダーのパターン。

図3を「パターンマジックⅡ」でシミュレーション

5.ルーズドロップショルダーの作図

単なるオーバーサイズと言ってしまえばそれまでだが、通常の背肩幅の身頃をオーバーサイズに変えるのはそう単純な話ではない。オーバーサイズに変える正しい方法を説明する。

【図9】肩傾斜、アームホールはそのままに、身頃だけをオーバーサイズにするイメージ図。単純に前後中心をずらして大きくすると前丈が長くなってしまう。

【図10】正しく身頃を大きくする方法。

▼前後身頃を肩線で突き合せて、バストラインを延長する。

▼延長したバストラインの交点から角度2等分線を引く。

▼角度2等分線の方向に沿ってアームホールと脇線をスライドする。

▼肩線をショルダーポイントに向かって引き直す。※肩線はそのまま延長してもよいが、その場合はショルダーポイントの位置が前方にずれる。

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