第6回 寸法表でよくある混乱
海外の縫製現場から見た日本のパターンと仕様書について
- レポート
本シリーズは、中国上海で縫製工業を経営されているDEPICTION-ONEの中村様に、東レACS主催の「縫製仕様書勉強会」にて「海外の縫製現場から見た日本のパターンと仕様書について」ご講演いただ内容をご紹介します。
言葉が違う海外の縫製工場へ仕様書を送るときに、起こりえるトラブルの例や、上手く伝えるポイントをご紹介しています。
第6回 寸法表でよくある混乱
1.ブラウスの寸法表でよくある混乱
図1はドロップショルダーで後ろにタックのあるスキッパーシャツの絵と寸法表です。
特に変わったところはありません。しかし、寸法表の肩幅と裾廻りの箇所を見てください。
初めに肩幅ですが、このようなドロップショルダーの場合、バックネックポイントを経由して3点間で測定するのか、肩先から肩先まで直線で測定するのかによって寸法は大きく変わります。
しかも、肩幅は縫製コメントで「縫い伸びしています」とよく指摘を受ける個所です。
パターンを測れば分かることなのですが、"SP~SP"のように測定方法も明記すると非常にわかり易くなります。
通販の場合は、サイトに表示するサイズ表記の測定位置が決められている場合もありますので、縫製現場だけではなく校正する際の間違いの予防にもなるかと思います。
次に裾廻りですが、脇から脇まで直線で測定するのか、裾のカーブに合わせて測定するのか、それとも後タックを含んでいるのかによって寸法は大きく変わります。
この場合は、直線で測定してタックは含んでいませんと表示してあげると非常に親切です。
【図1】
2.パンツの寸法表でよくある混乱
図2は普通のタックパンツです。寸法表のヒップと股上の箇所を見てください。
まずヒップですが、パターン上では測定位置が入っているので簡単に測定できますが、商品になった際は、当然測定位置が入っていないので、どこで測るかわかりません。
この場合は、このように上端からどれだけ下がった箇所がヒップ設定位置です、と明記することでわかり易くなります。
次に股上ですが、ウエストベルトを含んで測定する場合と、含まない場合があります。こちらも明記するとわかり易くなります。
股上については股繰りの縫い目線長さを股上として表記される場合があります。その場合、"ベルト込み曲線"などと表記すると親切です。
【図2】
3.スカートの寸法表でよくある混乱
図3はフレアースカートです。
こちらも同様にスカート丈はベルトを含んでいるのか含んでいないのか?ということと前か後ろかどっちの寸法なのか?ということです。
これもCB、CF総丈と表記してあげることでベルト込みの丈はこうですよとわかり易くすることができます。
裾廻りについては先ほどのスキッパーブラウスと同様直線か曲線かを表記してあげることでわかり易くなります。
【図3】
4.まとめ
寸法表の計測箇所は、複数の捉え方がある場合、明確に書く。
■今回お話を伺った中村様の会社
DEPICTION-ONE CO.,LTD SHANGHAI Office
〒201103
上海市万源路2163号A栋801室
中村 祐輔
Yusuke Nakamura
8F,UNIT A,NO.2163,WANYUAN ROAD SHANGHAI,201103,CHINA