2015年11月1日 アパレル工業新聞掲載
東レACS「服つくりへの想い」=第2回=日本の衣服設計力と「東レACS」CAD
昭和初期にアメリカから導入された平面製図法が、日本人の探究心とドレーピング(立体)の技術も加味しながら、製図立国日本と言われるまでになりました。
ヨーロッパと日本では、衣服デザインに対する価値観が違っており、ヨーロッパでは感性(センス)を、日本では構造や設計を重視しています。ヨーロッパのどの有名ブランドにも必ず日本人パタンナーがいたり、デザイナーとして日本人が採用されたりするのは、日本独自の衣服設計力が世界に求められているからでしょう。
1988年より東レACSは、日本の設計工程の徹底的な分析によりCAD開発を行ってきました。紙の上に自由に線を描く単純な機能から型紙展開などの複雑な機能、またグレーディング機能まで、パタンナーの感性や設計工程にマッチした仕組みを提案してきました。
CADが設計工程に活用される理由は、手書きと遜色のない操作性、修正の簡便性、データベースを使った以前の型紙や原型・スローパーの管理による型紙の再利用率のアップ、および東レACS独自のダミー内蔵式グレーディング手法が設計工程の効率化によると考えています。
しかし、現在のCAD活用は量産の準備工程以降での活用例が多く、原型やスローパーといった型紙の修正や工業用型紙作成が主な活用範囲での手作業の置き換えであり、仕組みやプロセス自体はなにも変わっていません。
東レACSは、現在のCADは日本独自の優れた衣服設計力をサポートするツールにはなっていないと考えています。