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「服つくりへの想い」アパレル工業新聞コラム掲載=第6回 - 2016年3月

2016年3月1日 アパレル工業新聞掲載

東レACS「服つくりへの想い」アパレル工業新聞コラム掲載=第6回=3Dを使ったパンツの型紙設計への新しいアプローチ (OPS研究会 矢野さん)

 ドイツのミューラー理論を研究しているOPS研究会の矢野弘子さんが、クレアコンポⅡの3D機能(ボディ生成)を使って、パンツ型紙設計研究を進めています。
 "一昨年からハイブランド製品のパンツの型紙分析を行ってきましたが、メゾンやパタンナーが違っても基本のフォルムが共通で、厚みの捉え方が同じであることがわかってきました。日本製のパンツはゆるみが横幅方向に設定されているのに対して、ハイブランドでは前後の縦方向にゆるみが入っており、全てのパンツがその基本造形で設計されていました。
 OPSで研究しているミューラー理論では重心線を利用して三次元の身体を二次元 (平面化) させ、パターンを設計しています。身体の厚みを捉える重要性を100年前の著書にミューラー氏が書いています。
 この考え方の検証に東レACSの3DCADを使って、市販の人台 (トルソ) や人体のスキャンデータ (産業技術総合研究所よりWebで無料提供) からバーチャルボディを生成して分析を進めています。寸法情報だけではわからない厚み (前後や左右) が、バーチャルボディから出力される横断面図を使って確認できます。
 この3DCADを活用することで補正結果とデータを検証しながら設計に反映させ人体とボディーの差による補正の精度を高めることができるのでは、Lサイズの検証もできるのではと、と期待がふくらみます。
 ウエスト、ヒップ、ふともも、ひざ、足首等の横断面図の縦横を計測 (前後差、縦横比率)すること、同じ座標上でそれぞれの横断面図を重ねること、股ぐりの縦断面図を分析することで、体型や姿勢が把握でき、年齢、性別の違いや個人の特徴も明確になります。パンツのみならず他のアイテムでも3Dによるデータを使うことによって、着易さ、美しさといった型紙の質を向上できると思います。"
 このように矢野さんは、三次元人体データと型紙の関係を研究することで、高品質の型紙設計を目指しています。東レACSは、このような型紙設計工程のイノベーションに対しても、CADをベストサポートツールになるよう進化させていきます。