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No.001 フードのパターンメーキング・・・その1

実践!レディース・パターン教室 著:菊地 正哲

  • 学習・知識

アパレル工業新聞 2017年1月1日発行 5面
この記事・写真等は、アパレル工業新聞社の許諾を得て掲載しています。

フードのパターンメーキング・・・その1

今月からこのページを担当させて頂くことになりました。パタンナーという職業を長年続けてきて、パターンメーキングに関して疑問に思ったこと、感じたことをパタンナーの視点で考察するスタディ・ルームのような内容にしていこうと思います。また、実務に役立つ新しいパターンメーキングの作図法なども提案していくつもりですので、以後宜しくお願いいたします。
第1回のテーマは「フードのパターンメーキング」です。フードはカジュアルウェアやスポーツウェアでは重要なパーツの一つですが、一般的にフード(頭巾)は帽子に分類されているので、そのせいか作図法に関しては理論的に解説した資料が今ひとつ少ないような印象を持っています。しかし、構造的に襟に類似している部分が多く、作図法としては襟の構造理論を当てはめたほうがより現実的ではないかと思っています。そこで今回は、襟から考えるフードのパターンメーキングということで、代表的な3種類のフードの作図法を紹介します。

1.フードの基本構造

 フードも襟の一つと考えて、襟ぐりから後頭部までを覆うじょうご形の立襟【図1】をフードの基本構造とする。この立襟をドレーピングで作ると、パターン形状は【図2】のような扇形になる。

これを平面で設計するためには、襟付け線のカーブ形状をどのように決めるかがポイントになる。【図3】はボディ側面図の前後のネックポイントの高低差を求めるために、前後身頃のパターンをそれぞれ配置した図である。バストラインから前ネックポイントまでの高さをA、バストラインから後ろネックポイントまでの高さをB、そして前後のネックポイントの高低差をCとする。平面で設計する要素として、Cの値が襟付け線のカーブ形状の高さに該当するので、計算によりその値を求める。単純計算ではC=B-Aとなるが、実際にはパターン上での寸法差と着用状態での高低差では若干の差異があるので、その差分を1cm程度加えてC=B-A+1cmとする。

2.基本形フードの作図

【図4-1】前後のネックポイントの高低差を求め、襟付け線を引く。
▼前身ごろと後身ごろをそれぞれバストラインの高さを合わせて配置する。
▼後ろネックポイントから水平線Eを引く。
▼水平線Eより1cm上に平行線E´を引く。
▼前ネックポイントから襟ぐり線をなぞるように平行線E´に接する襟付け線Fを引く。襟付け線Fは襟ぐり寸法と同寸になるようにする。
【図4-2】前襟ぐり線が深くなるほど、平面上の寸法差と着用状態の高低差の差異が少なくなるので、水平線Eを上げる寸法は少なくてよい。

【図5】フードの高さHの参考値。この寸法がフードの高さの最低寸法となるが、被ることを前提としないデザインもあるので、この限りではない。
【図6】襟付け線が決まったら、あとはフードの高さと前に倒す角度を決める。
▼襟付け線Fの上にSNP(サイド・ネックポイント)をとり、SNPからフードの高さ線Hを引く。Hは前に15度倒す。※角度は標準値。
▼高さ線Hの上端に直角線Tを引く。

【図7】▼フードの後ろ中心線を襟付け線Fの後端から垂直に引く。
▼フード口を高さ線Hに対して平行に引く。
▼後頭部のカーブを半径10cm~12cmの円弧で引く。※数値はデザインにより変動。
【図8】完成したフードのパターン。※フード口の形状はデザインにより曲線にする場合もある。

「パターンマジックⅡ」で基本形フードの作図

3.3分割フードの作図

【図9】センターに帯状の切り替えを有した縦3分割のフード。
【図10】▼基本形フードの外周に沿って切替線を4cm~5cm幅で平行に入れる。※数値はデザインにより変動。
▼切替布をまっすぐな帯にする。※切替線の寸法を同寸にする。
【図11】完成した3分割フードのパターン。※切替布はデザインによりテーパーをつける場合もある

「パターンマジックⅡ」で3分割フードの作図


「パターンマジックⅡ3D」で3分割フードをシミュレーション
※シミュレーションではフードの高さを変えてます。

4.ダッフルコートのフードの作図

【図12】ダッフルコートに見られる上下で2分割されたフードで、下ろしたときにフラットになる。
【図13】▼基本形フードの後頭部の角から角度二等分線Kを引く。
【図14】▼更にKとの角度二等分線K´を引く。
▼後頭部のカーブをK´を軸に反転する。
▼Kで分割する。
【図15】完成したダッフルコートのフードのパターン。


「パターンマジックⅡ」でダッフルコートのフードの作図


「パターンマジックⅡ3D」でダッフルコートのフードをシミュレーション
※シミュレーションではフードの高さを変えてます。

以上、3種類のフードの作図法を紹介しました。襟付け線Fのカーブを描くのがフリーハンドになるので多少の慣れが必要ですが、是非実戦で試してみてください。次回はフードの襟付け線と襟腰の高さの関係や、フードの傾斜度とフード口のゆとりの関係について解説します。

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